追悼のざわめき公開記念第2弾
80's インディペンデント・フィルムメーカーズ特集上映
廃墟に咲いた唯一無二の花どもよ
60年代、フランス・ヌーヴェル・ヴァーグ。
70年代、アメリカン・ニューシネマ。
そして、80年代、日本のインディーズ・ムービー!!
1988年、今は無き“中野武蔵野ホール”で公開された松井良彦監督の『追悼のざわめき』は同館開設以来の動員記録を打ち出し、全国でのべ5万人を動員する。それは、インディペンデント映画として製作された作品としては、異例の事件であり、伝説である。同作を生み出す原動力となったのは、80年代インディーズの神がかり的なエネルギーだった……。撮影所の崩壊とともに日本映画が混迷の時代へと突入していった80年前後、それまでとは違うやりかたで、映画に魂をぶつけ、既存の日本映画界、いや映画という表現形式そのものを破壊しつくそうとした至極の作家たちが生まれた。石井聰亙、山本政志、原一男、緒方明、園子温、平野勝之、山崎幹夫。彼らはそれぞれ独自の方法論で映画を作り、同世代の観客たちと共に、日本映画史の中でも異色のムーブメントを巻き起こした。80年代自主映画の金字塔『追悼のざわめき』が、「デジタルリマスター版」として、スクリーンに甦るこの夏、70年代後半から80年代にかけて製作されたインディーズ映画と、その後の彼らの近作とを一挙スクランブル上映する!!
■上映プログラム
8/20(月)18:00 『白 THE WHITE』 //20:30『またの日の知華』
8/21(火)18:00 『独立少年合唱団』 //20:30『紀子の食卓』
8/22(水)18:00 『極私的エロス 恋歌1974』//20:30『東京白菜関K者』
8/23(木)18:00 『サイクル』『3日』 //20:30 『1/880000の孤独』『高校大パニック』
8/24(金)15:30『HAZARD』 //18:00『雷魚』
//20:30 『看守殺しの序曲』『うぎ・ぶぎ・うっきん』
8/25(土)13:00『ゴーストタウンの朝』『散る、アウト。』//15:30『人間らっこ対かっぱ』
8/26(日)13:00 『俺は園子温だ!』 //15:30『男の花道』
『極私的エロス 恋歌1974』(1974/110分)

監督・撮影:原一男
製作:小林佐智子
録音:久保田幸雄
編集:鍋島惇
音楽:加藤登紀子
「私にとって映画はコミュニケーションの方法」という原一男が「極私」の極致へと到達した前人未踏のドキュメンタリー。かつて原が3年間同棲していた武田美由紀は子どもと共に家を出、沖縄で暮らしていた。黒人兵との恋、妊娠、そして別れを経、出産のため東京に帰って来た彼女はアパートの一室で、たったひとりの出産を試みる。そしてその傍ら、原はカメラを回し続けるのだ。原一男の名を一躍世に知らしめた一本。
『またの日の知華』(2004/114分)

企画・監督:原一男
製作・脚本:小林佐智子
撮影:岡雅一
音楽:上田亨
出演:吉本多香美 渡辺真起子 金久美子 桃井かおり
『ゆきゆきて、神軍』をはじめ過激なドキュメンタリー作品を生み出してきた鬼才、原一男。その待望の初劇映画作品。ひとつの役を4人の女優が演じるという他に例のない演出は必見。ヒロイン知華を演じたのは、吉本多香美、渡辺真起子、金久美子、桃井かおりの4人の女優たち。1960年代末から70年代、激動の社会を背景に、ヒロイン知華の女としての生き様が強烈に映し出されていく。虚構の中でリアルな女の人生がリアルな光を放つ。
『人間らっこ対かっぱ』(1985/8mm/23分)

1985年〜87年の3年連続PFF入選を果たし、「ゲバルト人魚」などの漫画の執筆も行っていた平野勝之の初期傑作の一本。しあわせな男女が成人式をめでたく祝うその日、浜松に流れる運河の一角で、血を血で洗う抗争が勃発した。これは、その狂躁的争乱の一部始終を記録したアドレナリン全開のノンストップドキュメント映像に他ならない。この映画に一切の言葉は必要ない。ただ「見ろ!」そして「忘れろ!」
『雷魚』(1989/8mm/120分)

宮崎勤事件が起きる少し前、まだストーカーやオタクといった言葉がなかった頃に、そのような人間の出現を予言していた作品。南野陽子を愛するアイドルマニアの杉山は、根暗な性格。ある夜、不思議な生物を手に入れた彼は、それを自宅の風呂桶で飼い始める。その日から杉山のまわりには怪しげな人物が跋扈するようになり…。本作の製作後、平野はAVやドキュメンタリー等、活動の幅を広げていくことになる。その転機となった作品。
『白 THE WHITE』(1999/118分)

監督:平野勝之
製作:安岡卓治
出演:平野勝之、犬9匹、猫3匹、キタキツネ1匹
女性とふたりで自転車旅行に出かける『由美香』『流れ者図鑑』で、ドキュメンタリー映画の世界に新境地を開いた平野勝之が独りで厳冬の北海道を北上。日本最北端の地、礼文島のスコトン岬を目指す。ゴウゴウと鳴る風の音、ペダルをこぐ監督の息づかい、スクリーンに映し出される生々しい映像。極端なスチュエーションに自らを投げ出し、翻弄されながらも、どこか冷めた第三者としての目を忘れない平野ならではの異色作。
『高校大パニック』(1976/デジベ/17分)

脚本・監督:石井聰亙
製作:大屋龍二
出演:梅津正信、中村ジョー、テアトルハカタほか
パンキッシュで衝動的な80年代インディーズの急先鋒、石井聰互が大学入学直後に郷里の福岡で撮影したデビュー作。加熱する受験戦争と管理教育に抑圧された高校生が、猟銃を手に学校を襲撃する。全編にみなぎるパワーとスピーディーなアクションで、それまでの自主映画の観念を塗り替えた。事実、本作は後に日活資本で石井聰互自身の手によりリメイクされることになる。真にエポックメイキングな衝撃作。
『1/880000の孤独』(1977/デジベ/42分)

脚本・監督:石井聰亙
撮影:井上敏夫/伊藤洋介
出演:入戸野誠/山崎いずみ
東京の片隅で予備校に通う浪人生。大学受験までのカウントダウンは始まっているが、未来はまったく見えない。鬱々と日常生活を送る彼に、暴発の瞬間は突然やってくる…。救いのかけらもない衝撃の結末で観る者を凍らせる、石井聰亙のフィルモグラフィの中で、最も陰惨かつ暴力的な問題作。この後、石井は『狂い咲きサンダーロード』『シャッフル』『爆裂都都 Burst City』といった伝説的フィルムを世に送りだすことになる。
『看守殺しの序曲』(1979/8mm/60分)

監督・脚本:山本政志
撮影:山野内勘二・山本政志
製作:斜眼帯
出演:奥村均治、松本純、田村久美子 ほか
史上初となるベルリン映画祭、カンヌ国際映画祭連続上映を成し遂げた『闇のカーニバル』で衝撃的なデビューを飾り、『ロビンソンの庭』『JUNK FOOD』など、数々の刺激的な作品を生みだし続けてきた山本政志の処女作。夜は地下鉄の掃除。昼は、廃墟で、煙草の空き箱でミニチュアの街を作る、閉塞した時代を生きる男を淡々と写し取っていく。面白い映画を作るため、あらゆるジャンルや国籍を越境しまくる男の原点。
『うぎ・ぶぎ・うっきん』(1984/VTR/27分)

演出・脚本:山本政志
脚本協力:内田栄一
製作:斜眼帯
出演:桑原亨、小池幸次、まりおん ほか
80年代前半のAV黎明期の流れの中で、当時としては珍しい業務用VTRを使用し制作された作品。娘を殺し、ぶら下がり健康器具で首吊り自殺した母。残された家族の日常をブラックユーモアたっぷりに描いた異色ホームドラマである。VTRならでは機動力とリアリズムを追求した作品に仕上がっている。山本政志は本作の製作後、ベルリン国際映画祭、ロカルノ国際映画祭でダブル受賞した『ロビンソンの庭』を監督することになる。
『3日』(2005/VTR/45分)

監督・脚本:山本政志
撮影:伊藤寛
出演:佐藤杏子、佐藤葉子、森岡龍、太田在、鳳ルミ、利重剛 ほか
両親が旅行に出かけたその日、ノブは恋人のユキを家に招いた。2人にとって、始めてのお泊まりだ。しかし、それは悪夢の3日間の始まりだった。見慣れたはずの近所の風景は、いつしかゾンビたちのひしめく地獄へと変わり果てていた。何気ない日常生活が突如異界へと一変する恐怖。荒唐無稽なストーリーを独特のスタイリッシュな映像センスで紡いだ山本政志的和製ゾンビホラー。
『サイクル』(2006/VTR/52分)

監督・脚本:山本政志
撮影:伊藤寛
出演:岩波藍、加藤裕人、大下美歩、なかむらよしこ、鳳ルミ、利重剛 ほか
山本政志による新感覚サイコ・ホラー。コンビニでアルバイトをしている麻愛は、ある日、自転車に乗った怪しげな女の姿を目撃する。麻愛はその正体を突き止めようと追跡を試みるのだが、女が入っていったのは実在しないはずの家だった。彼女は女の正体を調べていくうちに、次第に精神を蝕まれていく…。流麗なカメラワークと緻密に計算されたストーリーをもとに、独自の世界を築き上げている。
『俺は園子温だ!』(1984年/8mm/32分)

すべて:園子温
17歳で詩人デビュー。「ユリイカ」「現代詩手帳」に続々と詩が掲載され、"ジーパンをはいた朔太郎"と称された園子温が大学在学中に撮った処女8mm作品。監督、脚本、編集、主演といった区切りはこの映画にとって何の意味もない。当時22歳の園がひたすら「俺は園子温だ!」とチカラの限り叫び続ける圧巻の30分間。85年、ぴあフィルムフェスティバルで入選し、映画監督・園子温を生み出した記念碑的作品。
『男の花道』(1986年/8mm/90分)

第一部「丸ごと一匹野郎」(30分)
監督・脚本・撮影・編集:園子温
出演:園子温、山道狂介、藤原章、山本こてつ、肥田倫子、河西宏美
第二部「斜線」(60分)
監督・脚本・撮影・編集:園子温
撮影協力:平野勝之
出演:園子温、河西宏美、園路果、園いずみ、園音巳、
第一部は、絶叫、疾走、喧嘩。大学のキャンパス内を素っ裸で突進、破壊する。当時の園自身の破天荒なライフスタイルそのもの焼き付けたフィルム。第二部は一転して、静かな作風。家出ばかりしていた自らを描いた自伝的要素が強く、主人公の家族のほとんどを実際の園の家族が演じている。86年、ぴあフィルムフェスティバルで入選、大林宣彦監督に激賞され、スカラシップを獲得した。
『HAZARD』(2002/103分)

原作・監督・脚本:園子温
出演:オダギリ ジョー、ジェイ・ウエスト、深水 元基、池内 博之 ほか
退屈な学生生活を送っていたシンは旅行ガイドをめくり指先の止まった場所、ニューヨークへと旅立つ。憧れていた狂気と隣り合わせの世界。だが、現実はそう簡単に彼を受け入れてはくれない…。主演のオダギリジョーは、単身ニューヨークへ留学した経験を持つ自身と主人公を重ねてこの撮影に挑んだ。ブルックリンやハーレム地区でゲリラロケを敢行。手持ちカメラによる1シーン1カットの多用が緊張感と躍動感漲る映像を実現した。
『紀子の食卓』(2005/158分)

原作・脚本・監督:園子温
出演:吹石一恵、つぐみ、光石研 ほか
2002年に公開された問題作『自殺サークル』の後日譚とも呼べる作品。田舎に住む17歳の平凡な女子高生・紀子は、家族との関係に違和感を感じていた。ある日インターネットのサイト「廃墟ドットコム」を知る。彼女はそこで知り合った女性を頼って東京への家出を敢行、「レンタル家族」という虚構の世界で生きていく…。一家団欒という日常風景にひそむ、嘘。既に崩壊した現代の家族の姿を炙り出した、衝撃のホームドラマ。
『ゴーストタウンの朝』(1983/48分/8mm)

監督・撮影:山崎幹夫
製作:映像通り魔
出演:海岸秀喜、神岡 猟、石丸ひろ子
大学在学時に、佐々木浩久らと映像製作上映団体「映像通り魔」を旗揚げ、現在に至るまで数多くの8mm映画を作り続けている山崎幹夫の初期代表作。シナリオを書かず、現場でのイメージの醸成に任せて撮り進められた8mm作品。廃墟の街で、孤独に生きる男“ねずみ”。彼は迷路の中で自滅しかけていた。ときおり“うさぎ”の幻が現れ、彼を導く。唯一の友人、チンピラの“6月”が殺され彼は夜明けのゴミの中へ倒れ込む…。
『散る、アウト。』(1984/24分/8mm)

監督:山崎幹夫
出演:犬飼久美子、神岡猟、「映像通り魔」メンバー
ミ●キーマウスの仮面をかぶった男が路上で配るチラシを何気なく受け取ってしまったことから、主人公クミコは夢に似た世界に迷い込む。迷宮世界を彷徨った果てに再会したミ●キーは、彼女に「ここは映画の中だ」と教える。物語の断片に翻弄され、決して辿り着くことのない「出口」を求め、永遠にさまよい続けるしかないのだ、と。クミコは物語の果てを目指して100万年歩き続ける…。ノスタルジーを湛えた不条理劇。
『東京白菜関K者』(1980年/8ミリ/62分)

監督・脚本:緒方明
撮影:石井聰互 ほか
出演:尾上克郎、保坂和志、室井滋
製作:ダイナマイトプロダクション
『狂い咲きサンダーロード』から『爆裂都都 Burst City』にいたる石井聰互の助監督を務め、“石井組の大番頭”と称された緒方明の初期代表作。ある朝、眼が覚めると頭が白菜になっていた男の不条理話。疾走感溢れる映像センスが新世代の映像派アクション映画として、81年ぴあフィルムフェスティバルで絶賛された。リアリズムとファンタジー、無茶無謀と知性を往復する緒方明の原点がここにある。
『独立少年合唱団』(2000年/129分)

監督:緒方明
原作・脚本:吉本研次
音楽:池辺晋一郎出演:伊藤淳史、藤間宇宙、香川照之ほか
製作:WOWWOW+バンダイビジュアル
助監督時代を経て、「驚きももの木20世紀」(ABC)など、良質のTVドキュメンタリーを手掛けていた緒方明が40歳にして商業映画デビューを飾った記念すべき、もう一つの処女作。1970年代初頭の緑豊かな北の町にある全寮制中学を舞台に合唱に情熱を燃やす少年二人の友情を心揺さぶる歌声とともに描いた美しい物語。2002年、ベルリン映画祭コンペティション部門アルフレート・バウアー賞を受賞。
提供:石井聰亙、緒方明、園子温、原一男、平野勝之、山崎幹夫、山本政志、アグン・インク、アルゴピクチャーズ、アンプラグド、イメージリングス、トランスフォーマー、V&Rプランニング、wowow
企画協力:イメージリングス、69’ners film、PFF事務局
企画・配給:UPLINK、安岡フィルムズ、バイオタイド
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松井良彦×佐野和宏がおくる、80年代インディペンデントの極北
『追悼のざわめき デジタルリマスター版』
9月1日より、シアター・イメージフォーラムにてレイトショー
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■劇場情報
8/20(月)〜8/26(日)まで公開
劇場:UPLINK FACTORY

〒150-0042
東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1F
tel.03-6825-5502
料金:当日1,200円 2作品セット券 2,000円 (すべて税込)
※
8mm表記のある作品以外はすべてDLP上映となります。
(C) 1988-2007 松井良彦 & 安岡フィルムズ